施設長挨拶

私は、施設の開設当初からこの場所に関わり、利用者の皆さまやご家族と、同じ時間を過ごしてきました。 その中で、数えきれないほどの出会いと別れを経験してきました。
人生の最期の時間を、どこで、誰と、どのように過ごすのか。
その問いに、特別な答えがあるわけではないのかもしれません。
私たちが大切にしてきたのは、四季の移ろいを感じながら、自然の中で、人と人が共に生きる日々を、重ねていくことでした。
ときの杜には、毎日、さまざまな人の時間が流れています。
長く生きてきた人の時間も、これから人生を歩きはじめる子どもたちの時間も、
家族が行き交い、職員が働き、そのすべてが、同じ空間の中で自然に重なっています。
土に触れ、畑の様子を気にかけ、季節のものを口にする。
同じ食卓を囲む日もあれば、同じ場所で、それぞれの過ごし方をする時間もあります。
そうした日々が、無理のないかたちで続いています。
ここで大切にしているのは、毎日の暮らしを、急がず、丁寧に重ねていくことです。
今日という一日を、今日のままに過ごしていく。
その積み重ねが、やがて、その人の暮らしになっていくと考えています。
子どもたちの声が響く日もあれば、静かに時が流れる日もあります。
畑の実りを喜ぶ日があり、何も起こらない一日もあります。
そのどれもが、かけがえのない時間です。
人生の終盤にある人も、人生のはじまりにいる人も、その途中を歩いている人も、
ここでは、それぞれの「今」を生きています。
私たちは、その一瞬一瞬に寄り添いながら、日々の暮らしを支えていきたいと考えています。
ここで過ごす時間が、誰かにとっての安心になり、誰かにとっての大切な思い出になり、
そして、その時(とき)が、杜のように広がっていく。
ときの杜は、そんな場所であり続けたいと思っています。
ときの杜 施設長
岡田 卓巳


